森の図書室

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森と歴史

猫にまたたび。

「猫にまたたび」とは、大好物なものをたとえたり、効果が著しいことをたとえることわざですね。

このことわざに登場するマタタビは、近くの樹木に巻き付くようにして成長する蔓性の植物のことで、ほぼ全国の里山で自生しています。猫にマタタビの枝状の蔓(つる)や粉末にしたものを与えると、恍惚の表情を浮かべて体をくねらせて大喜び。その様子は、「またたび踊り」とも呼ばれています。

猫にかぎらずネコ科の動物であれば、ライオンやトラも同様。百獣の王も形無しの喜びっぷりを見せてくれます。ネコ科の動物たちを興奮させるのは、マタタビに含まれるマタタビラクトン、アクチニジンなどで、神経を刺激し麻痺させるとみられています。愛猫家は、愛猫へのごほうびや、元気のない時、発情期やイライラご機嫌ななめの時に与えるようですが、個体差があり、マタタビに対してまったく無反応の場合もあるとか。

また持続性がないため、反応を示しても5分も経てば我に返り、さっさと立ち去ってしまうそうです。

マタタビの実は、古くから血行促進、強壮作用などがある生薬として珍重されてきました。マタタビの名は、疲れきった旅人がその実を食べて元気を取り戻し、「また旅ができた」ことから、「また旅」→「またたび」になったとか。この説はこじつけとも言われていますが、人に役立ってきたことを表している説ですね。

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