森の樹木図鑑
樹木についての知識がたっぷり。
身近な木や、住まいの地域にぴったりの木を探せます。
キリ (桐)
ゴマノハグサ科
キリは日本で育つ木の中で最も軽い木です。それでいて適度な強度があり、割れや狂いが少ないなど、他にも数多くの特長があります。
昔から「娘が生まれたら庭にキリを植え、嫁入りの時はそれで箪笥(タンス)をつくれ」といわれますが、その通りキリは生長が早く、20年も経てば本当に箪笥(タンス)ができるほど大きく育つのです。
また、貴重品をキリの箱に入れるという習慣には実際に根拠があり、キリは断熱性・防火性にきわめて優れています。熱伝導率がたいへん少ないので中の温度を一定に保ち、さらに少し厚い材ならば、火がついても表面だけが炭化して内部はなかなか燃えません。
これだけいいことずくめの材なので需要も多いのですが、国内生産量ははるかにそれに足らず、台湾や南米からの輸入材が多く出回っています。
【材質】
日本産の材の中で最も軽軟。加工しやすく、寸法安定性が高い。心材と辺材の差は不明瞭。心材は淡褐色、辺材はそれより淡色。材面はときに紫色を帯びる年輪は生長が遅いものは明らかで、肌目はやや粗。吸湿性・吸水性が著しく小さく、含水率の変化による収縮・膨張の割合も国産材の中で最小。熱伝導率もきわめて小さい。
伐採後の材をそのまま使うと灰褐色の汚い色に変化するため、日光と雨露に一定期間さらす「あく抜き」を行う。
【生育地】
天然木は北海道南部から南の各地。造林木は特に関東以北に多い。岩手県の南部ギリ、福島県の会津ギリが有名。
【住まいでの用途】
床柱、天井板、各種の内部装飾材、建具材(彫刻欄間(ランカン)、障子の枠・組子・腰板板戸、襖の骨など)。単板、天然木化粧板にも使われる。
- 関連する木:
- クガイソウ ジギタリス