きこりんと行く
世界の森“木”行

世界の森を案内するよ。
おどろくような森がいっぱいあるよ。

1本の木?3本の木?
太さ世界一と言われる
メキシコ「モンテズマヌマスギ」

 

メキシコ南部の高地、オアハカ州トゥーレ村にあるモンテズマヌマスギ(スギ科の落葉針葉樹)を紹介するね。
樹齢はおよそ2000歳、高さ42m、そしてなんと根元の幹まわりが58m近くもある「太さ世界一の木」だよ。
モンテズマヌマスギは沼地や湿地に生える木で、現地ではアウェウェテ(水の老人)と呼ばれているんだ。
太さ世界一と言われているけれど、1本の木のふりをした3本の木ではないのか?と考える専門家もいたんだ。
その後、DNA鑑定をした結果、遺伝子的にみれば1つの個体であることがわかって、太さ世界一であることが証明されたんだ。
現地では夕暮れ時にこの木のまわりにみんなが集まって1日の報告をするよ。とても大切にされているんだね。
でも、ある時、木が瀕死の状態になってしまったんだ。
原因は、木の周辺に町が開発されたことで豊かだった地下水が不足するようになったから。
「大切な木を守ろう」と思った人々は、地下水を分断させている道路を迂回させたり、フェンスで木を囲って観光客が近づかないようにして、水を切らさず与えることのできる環境にしたんだ。
その努力が実って木は少しずつ回復しているよ。
「太さ世界一の木」になるまで気が遠くなるほどの年月がかかるのに、
開発によって枯らしてしまうのはあっという間。
アウェウェテには、これからも現地の人々を見守り続けてほしいね。

参考書籍:トマス・パケナム『地球のすばらしい樹木たち──巨樹・奇樹・神木』飯泉恵美子訳、早川書房