きこりんと行く
世界の森“木”行

ここはカンボジアの「タ・プローム遺跡」。

アンコールワット遺跡の周辺にある遺跡群として世界遺産に登録されているよ。一番の見どころは、巨大なガジュマルに呑みこまれているような寺院。

映画「トゥームレイダー」の舞台になった場所だから"この風景、見たことある"という人がいるかもね。ガジュマルと寺院が一体になった神秘的な姿は、昔の人が考えて生まれたものではないんだ。

この寺院は12世紀に王朝によって建立されたけれど、15世紀の王朝崩壊と共にその存在が忘れ去られ、熱帯雨林に覆われていったんだ。しかし、20世紀初頭、フランスの考古学者たちが熱帯雨林を切りひらき、アンコールワット遺跡群の修復プロジェクトを始めた際に、数世紀ぶりに姿をあらわした。

樹齢300年～400年と言われるガジュマルの根が血管のように遺跡の壁にからみつく姿を見て、考古学者たちは建物を再建するのではなく放置されたこのままの状態で保存すべきだと判断したんだ。

このガジュマルが寺院を破壊しているのか、それとも崩壊する寺院を支えているのか、現在も調査と論争が続いているんだよ。

参考書籍：『心に響く樹々の物語』日経ナショナル ジオグラフィック社