きこりんと行く
世界の森“木”行

世界の森を案内するよ。
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アンネが隠れ家から見ていた「マロニエの木」

 

アンネの日記で知られるアンネ・フランク(以下、アンネ)が、2年1ヵ月に及ぶ隠れ家生活の中で安らぎと、希望を感じていたマロニエの木が、日本で大切に育てられているんだ。
そこは、広島県福山市にあるホロコースト記念館。
1971年に大塚信さん(現:記念館館長)が、イスラエルで偶然アンネの父、オットー・フランクさんと出会ったのが始まり。
「平和は相互理解から生まれます。アンネたちの悲劇的な死に同情するだけではなく、平和を作り出すために、何かをする人になって下さい」というオットー・フランクさんの願いに応えて、ホロコーストの歴史の悲惨さと平和の尊さを伝えるため、この記念館がつくられたんだ。
アンネが、ナチス・ドイツから身を隠し、1歩も外へ出られない生活の中で、季節の移り変わりを知り、自由を夢見ていたのが、窓から見える1本のマロニエの木。
2010年、台風によってマロニエの木は倒れてしまったけれど、その苗木が、アメリカ、カナダ、そして日本に贈られ、自由と平和の大切さを伝えているんだ。
差別や偏見をなくし、平和を実現することは簡単なことじゃない。でも、アンネの願いは、世界の様々な場所で少しずつ根をはり、成長しながら広がっていくと思う。


参考サイト:ホロコースト記念館(日本 広島)
参考図書: 『アンネの木』 作:イレーヌ・コーエン=ジャンカ絵:マウリツィオ・A.C・クゥアレーロ
/訳:石津ちひろ くもん出版