森の図書室

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にっこり
日本の木

雲州そろばん(うんしゅうそろばん)

鉄づくりの伝統が生んだ、そろばん。

島根県奥出雲町で、江戸時代からつくられているそろばんが「雲州そろばん」。
計算するときに上下に動かす珠(たま)に使われているのは、ゆがみの出ない硬い木。
もともと奥出雲町は砂鉄の産地で、硬い木を加工できる鉄の道具をつくることができたんだよ。
「雲州そろばん」は、鉄づくりの伝統から生まれた、木工の伝統品と言えるんだ。

かやぶき民家の屋根裏で燻(いぶ)した竹。

「雲州そろばん」ができるまで、なんと187工程。見た目はシンブルなのにとても手間がかかっているんだね。
珠を支える軸は、かやぶき民家の屋根裏で囲炉裏や台所の煙などで燻されて硬くなった煤竹(すすだけ)を使う。

かやぶき民家の屋根裏で燻された煤竹(すすだけ)。

竹から水分が飛んで硬くなっているので、
狂いがないからなんだって。珠には硬い木、軸には竹。性質がちがうものを組み合わせているのに、
使い続けてもゆるまないのは、職人さんの技が生きているからだよ。

目が疲れないように、職人さんが115個の
珠の色や模様を合わせながら並べていくんだ。