森の樹木図鑑
樹木についての知識がたっぷり。
身近な木や、住まいの地域にぴったりの木を探せます。
ファルカータ
下草
ファルカータという樹種名は、かつての学名Albizia falcataを簡略化して木材の名前として呼び始めたもののようです。一時期インドネシア名の一つセンゴンラウトがよく使われていたほか、ジェウンジン、バタイ、カユマチスなどの呼び名も知られています。天然木の大きいものは高さ40m、直径80cmにもなります。この樹種は熱帯の天然林で伐採が進みましたが、成長が非常に早いために熱帯の早生樹のひとつとして注目され、特にアジア、太平洋地域における多くの造林プロジェクトで選ばれている樹種の一つです。当社でもインドネシアで植林活動をしています。
この木材が日本で知られるようになったのは数十年も前のことで、その頃にはナンヨウギリという名前がつけられましたが、植物学的にもキリとは全く関係ありません。加工しやすい木材なので、小規模の木材工業でも利用できます。現在では天然林産のものを見ることはほとんどなくなりました。若いときには樹皮が白〜灰色なので、その材を一度見ると印象に残る樹種です。
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【材質】
一般に辺材と心材の色の差はあまりなく、淡褐色、淡黄白色などで、時に心材の色がやや濃いこともあり、桃色を帯びていることもある。濃色の縞が認められるものもある。肌目は粗で、木目は一般には交錯している。気乾密度は0.23〜0.49で、一般的に入手可能な南洋材の中では代表的な軽軟材の一つ。天然乾燥では青変菌の害を受けやすく、またカビがつきやすい。耐久性は低く、ヒラタキクイムシの害を受けやすいので、利用目的によっては注意が必要。
【生育地】
モルッカ諸島から太平洋諸島が原産地とされているが、天然木よりも各地に造林されたもののほうがよく知られている。1870年代に東南アジアのビルマからフィリピンにかけて広く分布するようになる。現在では、東南アジア、南太平洋地域に造林されている。
【住まいでの用途】
合板の芯材、パーティクルボード、引き出し、棚板など。
【その他の用途】
パルプ、マッチの軸木、化粧木箱、軽構造物用材、食品容器など。