森の樹木図鑑
樹木についての知識がたっぷり。
身近な木や、住まいの地域にぴったりの木を探せます。
クリ (栗)
ブナ科
クリは日本のほとんどの地域に自生しているほか、実を食用とするためにあちこちで植林されています。そもそもクリは縄文時代から日本人の食糧となり、建築材としても利用されてきました。
しかし現代の暮らしにおいて、クリを建築材にといわれてもピンときません。
これはクリが非常に耐朽性に優れていることから、一時期に枕木として大量に使われ、材の蓄積が少なくなったためでしょう。クリは防腐剤を注入せずにそのまま枕木に使っても、7~9年は持つといわれるほど強いのです。
また、加工のしかたによって雅致に富んだ表情になるクリ材は、とくに京都で好まれていました。祇園の情緒は、クリでつくられた格子や柵、欄干がある建物のたたずまいと切り離せないものだったのです。
【材質】
心材の保存性がきわめて高く、国産材の中では最高。よく水湿に耐える。心材と辺材の差は明瞭。心材は褐色、辺材はやや褐色を帯びた灰白色。重硬で強く粘りがある。肌目は粗で加工は難だが、一般に狂いが少ない。表面の仕上がりは中庸。
【生育地】
北海道南部、本州、四国、九州。特に福島県、宮城県、岩手県、島根県などに蓄積が多い。
【住まいでの用途】
腐食や水湿、虫害に強いので、建物の土台に最も適した材とされる。また、材の強さと明快な木目から、床柱などの床まわり、棚、階段、手すりなどにも利用される。豪壮な如鱗杢(ニョリンモク)が現れた材は銘木として評価が高い。
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