森の図書室
森について、木について、
知ってほしいことが、たくさんあります。
森と歴史
人の歴史は木から始まった。
「サルも木から落ちる」なんて言われますが、サルが木に登ることは、人の起源(きげん)を考える上でとっても重要なことです。ずっとむかし、哺乳類(ほにゅうるい)が現れたころの地球は暖かで雨が多く、陸地は深い森におおわれていました。生物のほとんどは地上で暮らしていましたが、そのなかでサルと人の祖先である、原始的なサルだけが森の木の上で生活を始めたのです。木の上は、ひょいと手を伸ばせば木の実などの食べ物が手に入りますし、肉食獣などの怖い敵もいません。温度や湿度、日差し、風などの自然条件も安定していて快適です。ただ不安定な木の上で生活するためには、前足を器用に発達させる必要がありました。みなさんの手を見れば、馬や牛とは全然違うことがわかるでしょう?ひづめや鋭い爪がなく、五本の指でしっかり物をつかめる構造になっていますね。木から木へ枝を伝って移動したり、枝先についた木の実を採るには、じつに都合がいい形です。その後、サル類の一部が地上に降りて二足歩行をはじめ、人の直接的な祖先が誕生しました。人の遥かなふるさとは、森だったのです。森にあふれる色や空気、香り、音に、懐かしさや親しみを感じて癒されるのは、人のDNAに刻まれた遠い記憶によるのかもしれませんね。