森の図書室

森について、木について、
知ってほしいことが、たくさんあります。

森と環境

「クローン技術」が名木(めいぼく)を守っていく。

枯れそうになっている名木や、絶滅(ぜつめつ)のおそれがある樹種がたくさんあります。
名木や古木は、木と人の歴史、文化を伝えるとても貴重なものです。
その樹々の遺伝子(いでんし)そのものを残していく画期的な技術が開発されました。
住友林業・筑波研究所(つくばけんきゅうじょ)による「樹木のクローン技術」です。
クローン技術というとむずかしいイメージがあるかもしれませんが、少しお話しします。クローン技術のひとつが組織培養法(そしきばいようほう)です。
"芽の分裂器官である茎頂(けいちょう)を切り出し、特殊な培養液で育て、
人工土壌に植えて根付かせる"もの。木がもともと持っている増殖力を、
バイオテクノロジーという先端科学の力で最大限引きだすのです。
組織培養法は、組織自体の若返りも期待できるので世界が注目しています。
クローン技術の保存・増殖が進めば、近い将来、
名木のクローンをあなたの家の庭に植えられるかも。

クローン技術によって守られている樹々の一例をご紹介します。
◎京都・総本山醍醐寺、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見(だいごのはなみ)」の子孫と言われるシダレザクラ。
 クローン技術によって保存・増殖された世界で初めての桜です。
◎京都・総本山仁和寺の「名勝御室桜(めいしょうおむろさくら)」。
 人の背丈ほどまでしか成長しないため、目の高さで花が咲く珍しい桜です。
◎東日本大震災の津波から唯一耐え残った岩手県陸前高田市の松「希望の松」。
 その松そのものは根腐されにより枯死が避けられない結果となりましたが、
 接ぎ木によるクローン増殖と種子からの苗を育成中です。
 陸前高田市の復興に少しでも力になればと、苗は大切に育てられています。

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