森の図書室

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森と歴史

イースター島の失われた森と人々

南太平洋に浮かぶ小さな島、イースター島。北海道の利尻島とほぼ同じ大きさのこの島は、その昔火山の爆発によってできました。本土チリからは3,700kmも離れており、周りには他に島らしい島もありませんが、モアイを一目見ようとたくさんの観光客が世界中から訪れます。

さて、そんなイースター島の大地には、現在はほとんど木が生えていません。しかし、かつては豊かな森林に恵まれていたといわれています。その証拠に、高さ20メートルを超えるヤシの木の化石や、木の花粉の化石が見つかっています。ではなぜ、森林はなくなってしまったのでしょうか?その主な原因は、人口の増加やモアイの製造だといわれています。

5世紀頃、ポリネシアのマーケサス諸島などからたくさんの人が移民し、森林を次々に切り開いて農地を開拓していきました。さらにその後、モアイの製作が始まり、島のあちこちに巨大な石像を運ぶレールとロープを作るために、たくさんの木が使用されたのです。

イースター島のモアイの数は約1000体。どれほどの木が運搬のために使用されたのか、その量は計り知れません。

このような理由で森林破壊が繰り返された結果、イースター島では表土が流出し、畑が荒廃、作物がとれなくなりました。さらに漁や移動の手段となるカヌーの生産ができなくなり、深刻な食糧不足が島を襲いました。その結果、人口も減少していったのです。

その後も、島民のほとんどが奴隷として連れ出されたり、伝染病の流行によって、1870年代には人口は約100人にまで減少してしまいました。結局、人も森林も失ったイースター島には、荒れた土地とモアイだけが残ることとなったのです。
人口増加と森林破壊、食糧不足・・・そして島民のいなくなった島。イースター島は、その直面してきた問題と歩んできた歴史から、しばしば地球の未来への警鐘として話題にされることがあります。

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