森の図書室

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森と歴史

春を告げる柳(ヤナギ)。

日本には30種を超える柳があるとされています。その中で、よく知られているのが「枝垂れ柳(シダレヤナギ)」。道路・水路沿いや公園に植栽され、枝先を長く垂らして風にゆらゆらと揺れていますね。3月上旬から中旬にかけて葉が出るのとほぼ同時に黄緑色のふさふさの穂のような花(尾状花序)が咲き始め、これを合図とするかのように桜の開花の便りも届き、いよいよ本格的な春が到来します。

シダレヤナギは中国原産の落葉高木で、日本には既に奈良時代に伝わっていたとされています。湿潤の土壌を好み、川べりや堀端など水辺でよく育つため、水害防止にも役立っていたようです。挿木にしてもすぐ根が張るほど成長が早く、洪水などで流されても下流域で再び根づくのも容易。そんな旺盛な生命力から中国では霊力があるとされ、その昔には旅人の厄難除けに枝を送る風習がありました。

また、枝や葉には解熱鎮痛剤の成分であるサリチル酸を含み、枝を持っていれば煎じて傷や打ち身に塗ったり、服用すれば風邪にも効くそうで、緊急事態にも備えられます。霊力だけではなく実際の薬効がある旅の必携品だったのかもしれません。

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