森の図書室

森について、木について、
知ってほしいことが、たくさんあります。

誰かに話したくなる小ネタ

むかし、出雲の国(現在の島根県)に、

ひとつの体に頭が8つ、尾が8つある大蛇

ヤマタノオロチがあらわれました。

その大きさは8つの山と谷を渡るほどで、

背中はコケにおおわれ、

スギ、ヒノキ、クスノキの大木が茂っていました。

 

ヤマタノオロチは、

毎年あらわれては村の娘たちを食べてしまいます。

それを知ったスサノオノミコトという神様は

「8つのおけに酒をいれて置いておきなさい」と村人に命じました。

そしてその夜、ヤマタノオロチがあらわれ、

酒をガブガブと飲み、酔っぱらって眠ったところを退治しました。

 

ヤマタノオロチを退治した後、スサノオノミコトは、

自分のひげをぬいて土に散らすと、なんとスギの木に変わりました。

さらに、まゆ毛はクスノキ、胸の毛はヒノキ、尻毛はマキに。

「スギとクスノキは舟、ヒノキは神社、マキは棺桶をつくるのによい。

ほかにも木を植えて育てなさい」と命じました。

 

どう?おもしろい話だよね。この神話には背景があるんだ。

むかし出雲の国は鉄の産地として栄えていたんだ。

製鉄に使う炭の原料になる木を大量に伐ったせいで、

毎年大雨が降ると洪水にのみこまれていたらしい。

その洪水をヤマタノオロチという恐ろしい存在にし、

背中に茂っている大木は、

出雲の山が緑豊かだったころの姿を表していると言われているよ。

 

洪水を治めた神様と、

植林を教えた神様が同じなのは、

はるかむかしから人は植林の大切さと木の役割を知っていて、

未来へ伝えようとしていたのかもしれないね。