森の図書室
森について、木について、
知ってほしいことが、たくさんあります。
誰かに話したくなる小ネタ
海に行くと、砂浜のすぐそばに林があったりするよね。
その林は、海岸林(かいがんりん)って言うんだ。
砂浜の"よくある風景" としか思っていない人も、
ここから先を読むと海岸林を見る目がきっと変わるよ。
海岸林のほとんどは自然の林ではなく、人工の林。
むかしの人が生活を守るために必死の思いで育てたものなんだ。
海岸林がなかった頃は、風が吹けば砂が舞い上がって
近くの道や家などに砂が積もってしまう。潮風でせっかく耕した畑の作物が枯れてしまう。
高潮や津波が勢いを落とすことなく流れこんでくることもあった。
そんな厳しい環境を変えるために、人々は海岸に木を植えて"壁"をつくることにしたんだ。
でも、海岸に木を根づかせるのはカンタンじゃない。
木を植えても砂に埋まっていく。砂をかきわけて植え直し、また砂に埋まって植え直し...。
それを何十年、何百年と繰り返すことでようやく生まれたのが、今の海岸林なんだ。
海に囲まれた日本は、各地に海岸林があるよ。
例えば、青森県・津軽半島の屏風山(びょうぶざん)海岸林。
天和2年(1682年)、津軽四代藩主信政公が新田開発のために、
日本海からの強烈な風と飛砂を防ぐためにつくらせたもの。
当時は"一本の枝を折っても首が飛ぶ"と言われていて、
そこからも海岸林を育てることがいかに大切なことかが、わかるね。
被災地復興につながる海岸林もあるよ。
東日本大震災で被害を受けた宮城県・野蒜(のびる)海岸の近くに
地元のボランティアの人々が630本の木を植えてくれたんだ。
みんなの想いがやがて豊かな緑に変わり、地域を守り続けていくんだね。
木や植物が成長せず、人が住めるような環境ではなかった海岸沿いに
今では町ができ、畑が広がっているのは海岸林があるから。
どんなにツラくてもあきらめることなく海岸林を育ててくれた、
むかしの人々に感謝しよう!
宮城県・野蒜海岸の植樹活動の詳細はこちら!