森の図書室

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森と暮らし

梅と梅雨

「梅」と「梅雨」。この2つはとても関係が深いんです。
たとえば、梅雨の語源(ごげん)に「梅の実が熟して黄色に色づく頃の季節」に由来する説があります。また、梅雨は日本独特の気象と考えられがちですが、天気図を見ると、梅雨前線が沖縄を超えて中国大陸まで伸びている様子でわかるように、中国の華南や華中の沿海部、台湾、朝鮮半島南部といった、東アジア一帯の特有の気象現象なのです。
ちなみに中国や台湾では梅雨のことを「梅雨(メイユー)」や「黄梅雨(ファンメイユー)」と呼ばれています。
そして、梅の原産地も中国というのが定説で、栽培地域は東アジア一帯。梅雨のある地域と、梅を栽培する地域が一致しているので、雨降りの気象現象を「梅」にまつわる言葉にしたのも納得できますね。

さて、梅雨は湿度が高いために黴(カビ)が生えやすい時期で、食中毒の発生もこの時期から夏にかけて急増します。そんな時に重宝するのが、梅を使った加工品。
梅は三毒(食べものの毒、血液の毒、水の毒)を断つといわれていて、梅酢や梅干しなどは、抗菌・防腐作用に優れ、古くから梅酢は傷や器具の消毒に、梅干しはオニギリの具やお弁当に入れて腐敗を防いできました。
梅干しづくりは、梅雨の頃の熟した実を塩漬けし、梅雨明け後の土用の頃に、夏の陽射しを数日間当てる「土用干し」をして出来上がります。梅雨の時期を利用して、酸っぱくて美味しい梅干しの熟成が進むのです。

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