森の図書室

森について、木について、
知ってほしいことが、たくさんあります。

にっこり
日本の木

樹皮とその活用

木の樹皮の役目は木を風雨から守り、栄養分を運ぶこと。

樹皮がすっかりなくなってしまうと木は生きていけません。そのため、昔の人々は、木を殺さないようにしながら樹皮を活用する方法をよく心得ていました。

例えばヤマブドウ。ヤマブドウの樹皮やつるを編んで作ったかごは、丈夫で使い込むほどに光沢がでます。

現在では高価な工芸品になってしまいましたが、昔はなんということのない日常の道具でした。

ヤマブドウの樹皮を採取するのは、梅雨時のほんのわずかな期間で、1年間で10日ほど。それは樹木の活動が最も盛んになる時期で、木が死なないように工夫して皮をはいでいるのです。

ほかにもシナノキの樹皮から糸をとって布を織る手法は、現在でも山形県の「関川のしな織」と呼ばれる伝統工芸品です。

また、ヒノキの樹皮は油分を大量に含むため、水をはじく特性があり屋根材として重宝されました。現在でも伝統的な社寺建築に見られ、長野県の善光寺の屋根は大量の檜皮(ひわだ)を使っています。