森の図書室

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にっこり
日本の木

二風谷アットゥシ(にぶたにあっとぅし)

数ヶ月かかる糸づくり。

北海道平取町、アイヌ文化が色濃く残る二風谷地区。そこでアイヌの人々が受け継ぐ伝統的な衣装が二風谷アットゥシ。アットゥシのアッは、ニレ科の木・オヒョウのこと。その皮を使って織る(トゥシ)ことで生まれる反物をアットゥシと呼ぶんだ。オヒョウの内側の皮を煮てやわらかくして、1枚ずつ手で細かく割き、ねじることで1本1本の糸にしていく。だから、糸づくりには数ヶ月かかるんだって。

家族への愛情を織り込む。

二風谷アットゥシは、男性が儀式で身に着ける衣装。魔除けの意味をもつ刺繍は特にこだわってつくられていたんだ。身近にある木という素材を使い、家族への愛情を込めて丁寧に織っていたんだね。自然と共に生きたアイヌの人々の精神と文化である二風谷アットゥシを、これからも守っていきたいね。

ニレ科のオヒョウ。この木の皮から糸をつくるんだ。

木の皮からつくる糸は微妙に色が違うので、
自然にしか生み出せない縞目(しまめ)ができる。