きこりんと知る
木と森と住まいのサステナビリティ

「なんか落ち着く」には理由がある。
木のぬくもりで、毎日が癒される暮らしへ

2020.08.19

毎日使うテーブルや椅子、食事に使うスプーンや食器など、木の素材にぬくもりを感じたことはありませんか。顔が映りこむシルバーや、透明感のある陶器も美しいですが、あたたかみや優しさといえば、やはり天然素材の木に勝るものはないでしょう。

木はほんとうに「あたたかい」

よく言われる「木のぬくもり」。これはたとえ話ではなくて、私たちは科学的にもほんとうに「あたたかく」感じています。その理由は、木の熱伝導率にあります。

温度には、高い方から低い方へと流れる性質があります。そのため、36〜37度の体温をもつ私たちが金属やコンクリートなどに触れると、皮膚の温度が奪われ、「冷たい」と感じます。

一方で、木に触れても冷たく感じることはありません。それは、金属などの人工物とは違って、元々生きて成長していた木には細胞があり、細胞に含まれた空気がまるで断熱材のようにはたらくことで、熱の伝わりから守ってくれるからです。木は、熱の影響を受けにくい、熱伝導率の低い材質なのです。

例えば、お味噌汁のお椀や、鍋の取っ手部分などに木が使われることが多いのも、この木の断熱性を活かしているためです。

木は加工されても「呼吸」をつづける

そしてもうひとつ、調湿効果と呼ばれる性質も、木が私たちの暮らしに快適さをもたらす理由です。

木は伐採と加工を経て、家具や生活雑貨などに姿を変えた後も、周辺の水分を吸い込んだり吐き出したり「呼吸」をし続けています。それは、木の内部が「多孔質」と呼ばれる空洞を含む構造をしているためです。周囲に湿度があれば微量に水分を取り込み、反対に周りの湿度が低ければごくわずかに水分を放つという、呼吸のような作用をしながら湿度に変化をもたらします。

湿気があるときは同じ気温でもより暑く感じるように、木の家具や床のお部屋にあたたかさを感じるのはこの調湿効果が理由でもあります。コンクリートや鉄よりも、木に「ぬくもり」や「やさしさ」、そして「あたたかみ」を感じるのには、こうした根拠があるのです。

木がもたらす健康効果

近年の研究では、こうした木の性質によって、木に触れることで脳波が落ち着き集中力が増したり、血圧が安定してリラックスできるといった効果がわかってきました。

インテリアショップにヒバの原木が扱われていたり、ヒノキオールの天然精油なども改めて注目されています。芳香剤や入浴剤、石鹸といった生活アイテムは気軽に取り入れやすいことも人気の理由かもしれません。

空調管理が行き届いた現代ですが、たかが熱伝導、なんて言えないほどの健康効果が木にあるんですね。毎日の暮らしに木を増やせたら、日常に快適な場所が増えそうです。

創業以来、木を植えて、森を育みながら、木を活用し続ける「保続林業」の理念が、住友林業には時代を超えて脈々と受け継がれています。住友林業の所有する社有林は、2007年以降社有林の拡大を続け、北海道、本州、四国、九州の4ヵ所で合計約48,000ヘクタールにも及び、これは日本国土の約800分の1に相当します。

住友林業は、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献しています。森林、緑化、環境といった分野に関して、創業320余年のノウハウを住友林業グループでご案内しています。

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