きこりんと知る
木と森と住まいのサステナビリティ

エコのためには循環すること。
木を植えて育てて活かす「バイオマス」の時代へ。

2020.09.18

外食先での食事やお弁当を食べる際に、割り箸やつまようじがあると便利ですよね。ただ、使い捨ててしまうものに木材を用いることが、環境破壊に繋がっているのではないか、と心配したことはありませんか?

「木を切る」ことも、森林保護になる

もしかしたら意外に思われるかもしれませんが、実は森林保護のためには「木を切る」ことも大切です。たとえば、森林に人の手を入れずそのままにしておいたら、どうなると思いますか?

樹木も下草も、いったんはすくすくと育っていきます。しかし、それぞれが自由に生い茂っていくことで、森林内に差し込む光がじょじょに減り、樹木の幹は細長く、また下草の根の張りも浅くなっていってしまうことがあります。

植物の生育が悪くなった森林は、風雪に弱くなり、水源かん養機能(=降雨を森林の土壌内に貯留することで、河川へ流れ込む水量を抑え、洪水の発生を予防できる)や、土砂流出防止機能(=根がしっかり張っていることで、土砂崩れなどの災害発生が抑えられる)も低下してしまいます。

こうした問題を解決していくために重要になるのが、「間伐」と呼ばれる、森林の樹木にしっかりと光が届いて育つように適切に隙間を作って伐採し、樹木の量を調整していく手法です。間伐を行うことによって、森林は長く健康的な状態を保っていくことができます。また、植物がすくすくと育ち土壌が豊かになることで、昆虫や動物などの生態系にも良い影響をもたらします。

切り出した木材を有効活用する

間伐によって切り出された樹木は、木材となって活用されます。冒頭の割り箸やつまようじには、実は間伐材が多く活用されているのです。切り出された木材が商品となることで、そこで得られた利益をまた次回の間伐実施に充てるなど、森林維持に活かすことができます。こうしたサイクルが循環して、森林は豊かなままに持続されていきます。

国産の木々を伐採、加工したり、端材で割り箸などの消耗品をつくったりすることは、環境を守るプロセスのひとつでもあるんですね。

「バイオマス」という考え方

木という素材は、お家を作ることに活用されるだけでなく、家具にしたり、さらに食器にしたり。また、どうしても出る端材などは、燃料にもなったりします。

最近注目されているのが、「バイオマス」という考え方です。バイオマスとは動植物を意味した英語の「bio」から来ており、端材となった木や、農産物、海藻、プランクトンなど、動植物由来の有機物で資源として活用できる物質の量、を意味しています。

近年では、環境問題解決への貢献という観点で、このバイオマスの活用が注目を集めています。たとえば、スーパーマーケットのレジ袋への利用が話題になったり、バイオマス資源を燃料にしてタービンを回して電気をつくる、「バイオマス発電」も進んでいます。

バイオマスの活用で、サステナブルな森林管理へ

森林維持の過程で生まれた端材や木くずは、このバイオマス発電の燃料として実際に発電所でも活用されるようになっています。

「発電のために燃料を燃やして二酸化炭素を排出する」というと、ぱっと見には環境に悪影響があるようにも見えますが、樹木はその成長過程で二酸化炭素を吸収、酸素を吐き出しています。

バイオマスには、「カーボンニュートラル(=木材の燃焼により生じるCO2は、木が成長過程で吸収したものであり、大気中のCO2増加にはつながらない)」という考え方があり、このバイオマス燃料の利活用は、CO2削減、という地球温暖化対策への貢献など、環境問題の観点からも注目が集まっているのです。

創業以来「木を切ったら植える」という保続林業を実践し、循環型の事業を続ける住友林業は、バイオマス発電事業でも安定した電力を供給しています。地域の雇用を創出し、森林資源で発電した収益は、さらにサステナブルな森林管理へと循環する住友林業のバイオマス発電。詳しくは 紋別バイオマス発電株式会社のホームページをご覧ください。

バイオマス発電について、
もっと知りたい!

紋別バイオマス発電所は、北海道のオホーツク地域から集荷される森林資源を燃料として利用し、地域の林産業関係者や自治体の協力を得ながら、林業と発電事業が連携した事業を進めています。