きこりんと知る
木と森と住まいのサステナビリティ

「脱プラスチック」って何?
日常生活から世界の海を考えてみよう

2020.11.25

おいしい食事を食べたとき「材料に何が使われてるんだろう」と想像するように、毎日使っている日常品が何でできているのかと原材料を意識する、そんな習慣はありますか。視界に入る身近なものを意識してみるだけでもすぐに「あること」に気がつきます。

想像以上に多い、プラスチックが原料の日用品

たとえば、お気に入りのスマホケース、毎朝つけるコンタクトレンズ、全国共通のポイントカード、習慣で買うドリンクのボトル、有料化したレジ袋…。これら日用品の多くがプラスチックを主原料にしています。

軽くて安価で、加工がしやすく水にも強い。素材としてとても優秀で、私たちの暮らしを長い間支えてきたプラスチックですが、昨今「脱プラスチック」や「プラスチックフリー」という、プラスチック製品を減らそうとする動きが強まっているのも事実です。一体、なぜなのでしょうか?

増えるプラスチックの処理が追いつかず、自然界に蓄積される

その理由は、分解や処理ができる範囲を超えたレベルまで生産量が増加したためです。個人的には毎週ちゃんと分別してプラスチックごみを出していたとしても、世界的に見ると生産量の加速度は凄まじく、処理スピードが追いつかなくなりました。結果的にプラスチックごみは自然界、特に海へと流れ出てしまったのです。

ゴミになったからといって水に強くて軽いという特徴は変わりません。お風呂におもちゃのアヒルが浮いているのは微笑ましい光景ですが、広大な海に集まった何百トンものプラスチックごみは痛ましく、また、おもちゃのように簡単に拾い上げることもできません。さらにプラスチックに付着するバクテリアなどもあり、深刻な海洋汚染として問題視されています。

地球全体で見ると、海は大きな循環の一部です。海上でできた雲が陸地に雨を降らし、雨を受けた森林が酸素と川の流れを生み出し、またそれが海に還っていく。このサイクルがあることで、私たちにとっても豊かな生活環境が保たれています。この循環が乱されてしまうのは好ましくない、と誰もがわかっていながら、海洋汚染問題は起きてしまっているのです。

マイクロプラスチックは、日常のいたる所に

もうひとつ大切なキーワードは「マイクロプラスチック」です。海洋で砕けたり、劣化して少しずつ小さくなっても、水に強い性質は変化しません。海中や海底にとどまって海の生き物や鳥が食べて命を落とすこともあれば、そのまま食物連鎖の輪に入ると、間接的に私たち人間もプラスチックを食べることになります。

また、まだ捨ててもいない日用品にもマイクロプラスチックは存在しています。日に焼けて劣化した洗濯バサミが白くなっているのを見たことはありませんか?もしくは、歯磨き粉や洗顔料に含まれる小さなつぶつぶのスクラブ、華やかなアイシャドウのラメ、水を含むと少しずつ小さくなりながら汚れを落とすスポンジなど、下水処理をすり抜けるサイズのプラスチックは私たちの暮らしの中に少なくありません。

身近なところから、みんなで意識を変えていく

このように現代のライフスタイルが、プラスチックをたくさん消費する仕組みであることを認識してみると、問題はプラスチックそのものよりも、社会を構成している私たちの意識にあると気づかされます。

いま世界が「脱プラスチック」「プラスチックフリー」を目指している理由は、私たち一人ひとりの意識を変えることで、プラスチックの消費量を適正に戻せるかもしれない、ということなんですね。

たった1度の使用でゴミにする使い捨てプラスチック(レジ袋など)を減らすこと、買い物をするときは自然に還る素材を選択すること、環境意識の高いメーカーの商品を買うなど、一人でもできることはたくさんあります。まずは、自分の身近にあるものの素材を考えることから始めてみましょう。

執筆者紹介

やなぎさわまどか

東日本大震災を機に、都市生活から自然が近い暮らしへシフト。食、農、環境課題をテーマに複数メディアで取材執筆、編集のほか、翻訳などを行う。