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ひとりでも、みんなでも。
暖かく快適であるために「熱効率」を考える。

2021.01.27

寒い季節はどうしても電気代などが高くつきますが、何か上手な工夫などしていますか?
無理なくできて、快適に過ごすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。

寒さの原因は、実は「地球温暖化」?

厳しい寒さの原因が、実は「地球温暖化」にあるという学説があることをご存知でしょうか。一見矛盾しているようにも感じられますが、寒さは、地球温暖化によって北極海の氷が減少したことにも起因していると言われています。

実は海に浮かぶ氷は、断熱材のように気温を吸収しコントロールする役割を果たしています。しかしその氷が年々減少することで気温の吸収が難しくなり、熱が大気に放出された結果、北極付近の気圧が高まることで周りとの温度差が小さくなると、その寒気は日本にまで流れ込むようになります。地球温暖化によって現在、北極海の氷の面積は過去最小と言われており、それが年々冬の寒さが増している原因の一つだと言われています。

暮らしにあった暖房と効率を

暖房にはエアコンやガスヒーター、灯油ストーブを使っている方が多いと思います。そのほかにも電気カーペットやこたつ、ファンヒーターといった暖房家電を併用している方もいるでしょう。

効率や節約のためには、暖房の設定温度が高くなりすぎないように気を配りながら、部屋のドアを閉めたり、電気カーペットを使う場合は人がいるところだけつけるといったような、使用範囲を狭めることも大切。できれば家族が同じ部屋で過ごせると理想的です。

また、断熱効果のために「窓」の周りを見直すことは、想像以上に大きな違いが生まれます。たとえ窓をしっかり閉めていても隙間から外気が入り、冷えたガラスからは室内の温度が逃げ、またサッシによっては外気の冷たさを室内にも伝えてしまいます。そこで、厚手のカーテンに変えたり、窓に貼るタイプの断熱シートを利用するなど、窓周辺の温度差に工夫をすることが暖房効率にも効果的です。

湿度、服装、昔からの知恵なども取り入れて

夏の猛暑時は湿度を下げることで涼しく感じることができますが、冬はその逆です。湿度を上げて、体感温度を高める工夫をしてみましょう。
加湿器を利用するほか、洗濯物を室内に干したり、鍋料理をしたり、石油ストーブの上でお湯を沸かすのも室内の湿度が上がります。

また基本的なことですが、着るものも見直してみましょう。保温効果の高いアウトドア系のインナーや靴下に変えたり、首元を冷やさないように羽織るものを変える、膝掛けを使うなど、何かプラス1枚の追加で体感温度は随分変わるものです。

手足が冷たいなど、冷え性気味の方は特に、体の末端を温めることも効果的。心臓から遠い末端は、血液がうまく巡らないと冷えてしまうため、足先をしっかりと温めることで血流を促進し、体全体の冷えを緩和できるのです。
昔から頭寒足熱(ずかんそくねつ)という教えがあるように、足元に湯たんぽを置いたり、ひざ下に電気毛布を使ったり、足首にレッグウォーマーを重ねるといった、小さな工夫が体を寒さから守ってくれます。

社会でもエネルギーの有効利用を

このように自宅の中だけを見ても様々な工夫ができるわけですが、地域や社会でも同様に考えることができます。例えば、ゴミ焼却や工場排熱といった、地域で発生した熱エネルギーを効果的に再利用することも大切です。

実際北欧では、断熱効果のある窓ガラスや、二重サッシにするといった設備の工夫だけでなく、ゴミの焼却熱で温めた温水を、地域住民の暖房や給水に利用する「地域熱供給」が普及しています。
日本でも一箇所で温水をつくり、同地域にある複数施設に効率的に共有するといった地域熱供給を導入しているところも増えてきています。

地球温暖化への影響を少しでも減らすために、個人でも社会でも、エネルギーと上手に付き合う工夫を続けることは、喫緊の課題と言えるでしょう。

執筆者紹介

やなぎさわまどか

東日本大震災を機に、都市生活から自然が近い暮らしへシフト。食、農、環境課題をテーマに複数メディアで取材執筆、編集のほか、翻訳などを行う。

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